帰宅困難者対策について

帰宅困難者対策についてお伺いいたします。平成24年に東京都が設置しました首都直下地震帰宅困難者等対策協議会が公表した内容によりますと、東京湾北部地震の想定帰宅困難者数は、東京都全体で約517万人、うち台東区は11万人と予測しております。しかし、当時の台東区の年間来街者数は4,300万人でしたが、先日の文化・観光特別委員会にて平成28年観光客の推計表の報告によりますと、28年度は5,000万人を超えて5,061万人になるという速報値の報告があり、全体がふえている中、帰宅困難者も当時よりふえてしまうと予測できます。帰宅困難者は通勤や通学だけでなく、国立西洋美術館や上野、浅草などの観光や買い物など、外国人の方を含む多くの人々が台東区を訪れております。
一たび大地震が発生すると、直接的な被害だけでなく交通機関の運休に伴い多数の帰宅困難者が発生するため、駅周辺などは大きな混雑状態が予測され、その対応として台東区内の帰宅困難者一時滞在施設としては、都立高校としては忍岡高等学校を含めた9カ所、区立施設としては浅草公会堂を含む9カ所で合わせて18カ所となっておりますが、6年前の東日本大震災のときのように広域避難場所に指定されている上野公園や隅田公園は帰宅困難の人であふれると予測しております。
そこで、帰宅困難者対策についてお伺いいたします。上野公園内の東京文化会館や東京都美術館など、都の施設は帰宅困難者の一時滞在施設に指定されており、また東京国立博物館も区と協定を結び、帰宅困難者受け入れに協力の姿勢を示すなど、対策が進められておりますが、まだまだ十分とは思えません。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、さらに来街者が一層ふえることが見込まれる中、上野公園周辺のその他の施設との協議もスピード感を持って進めてほしいと考えております。上野周辺には、私立学校など大きな面積を占める建物もあり、災害時の帰宅困難者一時滞在施設としても活用できると考えます。各学校において生徒たちの安全確保を優先ということも理解しておりますが、ぜひ防災協定を結べるようにするべきだと思われます。
また、台東区が土地の貸し付けをしている施設も多くあることから、増大が予想される帰宅困難者の受け入れ先として、これらの施設への働きかけに積極的に取り組むべきと考えますが、区長の所見をお伺いいたします。

○委員長 区長。

◎服部征夫 区長 ご質問にお答えいたします。
まず、上野周辺の私立学校との一時滞在施設としての協定の締結についてです。上野駅周辺の対策協議会に加盟している私立学校については、帰宅困難者対応の訓練に参加していただいておりますが、今後帰宅困難者の受け入れについても協議してまいります。
次に、本区が土地の貸し付けをしている区内の施設への積極的な働きかけについてです。これまでもヒューリック浅草橋ビルとは帰宅困難者の一時滞在施設として、また福祉プラザ台東清峰会とは避難所の協定を締結しています。今後も施設の状況を踏まえ、帰宅困難者対策への協力について働きかけてまいります。

○委員長 青鹿委員。

◆青鹿公男 委員 なかなか進まない要因としまして、施設管理者の損害賠償責任があると伺っております。例えば一時滞在施設において、余震により天井が崩落するなど建物に起因して帰宅困難者が損害を受けた場合、施設管理者に賠償責任が生じる場合もあり、これを法制度で一律免責をするということは現状では民法上の被災者保護の観点から困難であると言われております。
とはいえ、一時滞在施設の確保を今後さらに推進する必要があると私は強く思いますので、施設管理者が損害賠償責任を問われないような法整備を積極的に国や都に要望していただきたいとお願いし、次の質問に移らせていただきます。