地域力の向上について(町会活動支援)

台東区は199の町会があり、町会連合会も馬道、雷門、谷中、浅草橋など11連合会が存在をしております。他区において、町会活動が薄れていく中、台東区の町会は、現在においても地域の核としてしっかりと活動を続けていただいており、台東区政において欠くことのできないパートナーとして日夜ご協力いただいております。
日本一と言っても過言ではない我が区の町会組織ではありますが、昨今はマンションの増加に伴い新たな住民の方もふえ、また、勤務形態もサラリーマン世帯が増加したことなど、町会活動の担い手となる役員の確保が難しい状況となってきております。また、役員のなり手不足だけでなく、日常のコミュニケーションが希薄になってきてしまったことにより、町会への帰属意識が薄れてきてしまっていると感じている役員の方々もふえてきているのではないでしょうか。町会活動にとって何よりも欠かせないことは、常日ごろのコミュニケーションであり、そのコミュニケーション形成の手段として、イベントや行事が大変重要な役割を占めております。現在でもそれぞれの地区・町会において、地区運動会や夏まつりなどが開催され、活発にコミュニケーション強化を目指し活動されているのをよく見かけますが、その一方で、イベントや行事を開催したくとも費用やスタッフの確保、参加者の減少などの問題で開催を諦めてしまう町会もあると伺っております。さらにマンションの増加に伴い、新たな住民の方もふえてきている中、掲示板や回覧板などを見ていないなどの理由で告知がうまくできていないケースもあると伺っております。地域力向上に欠かすことのできない町会の維持・発展に向けて、町会等が実施するイベントや行事などへの新たなサポートを区としても実施すべき時期に来ているのではと考えております。
東京都は、地域活動の担い手である町会・自治会が主催して行う地域の課題を解決するための取り組みを支援するために、地域の底力再生事業助成として、都が取り組む特定施策の推進につながる5つの取り組み、防災・節電活動、青少年健全育成活動、高齢者の見守り活動、防犯活動、東京オリンピック・パラリンピック気運醸成活動に対し、区市町村を単位とする町会・自治会の連合組織の場合は200万円、複数の単一町会・自治会が共同して実施する地域の課題解決のための取り組みを共同で行った場合は50万円の助成をしております。台東区内において、この制度を申請された件数は平成22年は2件でしたが、25年には6件、26年には12件、27年には28件、ことしはもう10月時点で24件と増加傾向にございます。増加傾向にある理由として、区民課が中心となって区民事務所などでも地域の底力再生事業助成の申請書の書き方など、サポートに力を入れられてきた点に加え、各団体・各町会も町会内の課題解決、そしてコミュニケーション強化の機運が高まってきているのが要因と考えられます。また、この申請は、さきに述べましたが、都が取り組む特定施策の推進につながる5つの取り組みを考慮する必要があり、申請する場合は今までどおりの行事・イベントだけではなく工夫を行う必要がございます。例えば、ことしは旧町名に変更いたしました浅草芝崎町三か町で毎年合同で行われている夏の子ども会ですが、例年ですと、ヨーヨーや金魚すくいなどの昔ながらのアトラクションを中心に開催をしておりましたが、ことしは今までのアトラクションに加え、近隣の消防署と連携した消火訓練やAED講習も実施いたしました。その際、アトラクションのチケットの中に消火訓練とAED講習も加える工夫をしたことで、多くの子供たちに加え、ふだん防災訓練に参加ができない幼い子供がいる保護者も防災体験をすることができ、コミュニケーション強化だけではなく防災力の向上にもつながった事例がございます。
さらに、開催に伴う事前の打ち合わせやチラシやポスターの作成、町会住民の戸別訪問、そして、当日のイベントの運営、反省会などを通じまして、コミュニケーション強化だけでなく、現状、町会が抱える課題や改善点なども詳細に確認できる場ともなりました。将来的には、いろいろな工夫をされている町会事例に対し表彰を行うなどにより、各町会行事の内容をブラッシュアップしていくことで地域力をさらに向上させるべきと思います。
このように、表彰に値するような町会の行事が区内には数多くあると思いますが、まずは、情報の連携と蓄積を考えております。それぞれの行事の開催内容は、町会の掲示板などを活用し告知されているのをまちでよく見かけます。10年前でしたら、掲示板以外は飲み会などの一部の場の情報交換のみでしたが、現在はインターネット等の技術革新に伴い、掲示板だけでなくフェイスブックを含むSNSなども大いに活用されており、いろいろな区内の行事の開催内容が公開され、各地域の交流も盛んになってきております。台東区は他区と比較すると驚くぐらい行事が多く、まだまだ知られていない有効なノウハウが各地区や町会に多く蓄積をされております。これらは台東区の財産であり、さらに各町会間でも共有していくべき重要な情報だと考えております。台東区においては、東京都の地域の底力再生事業助成を申請した他区の事例も含めた事例集を毎年作成し、情報の共有化を推進しておりますが、やはりこちらは紙媒体のためか、まだまだ区民の認知は低いと思われます。また、ネット環境においても、フェイスブックやブログなどのSNS等、公開されている場所が多岐になっておりますので、一つのツールでの検索・参照、そして比較検討するのに大変手間がかかっていると私は感じております。その対応として、インターネット環境が飛躍的に普及している中、行政が積極的に各町会の行事・イベントのノウハウや開催状況を含む情報の見える化を推進することで台東区全体の地域力をさらに向上させるべきと考えますが、区長の所見をお伺いいたします。

(区長服部征夫さん登壇)

◎区長(服部征夫 さん) 青鹿議員のご質問にお答えいたします。
ご質問の第1は、地域力の向上についてです。
町会の皆様は区政を推進する上で大切なパートナーであり、町会活動の活性化は区政の活性化につながるものと考えています。現在、台東区町会連合会を通じて、全町会に対し、年間で2回、防災訓練や夏祭りなどの活動について紹介をしております。青鹿議員ご指摘のように、町会の行事や、あるいは地域の底力、再生事業への取り組みなど、参考となるような取り組み事例については、これは町会への加入促進にもつながるようですね。今後、町会の皆様のご意見をお伺いしながら、紹介の方法等を検討してまいります。