防災力の更なる向上について

地元、金竜小学校で4町会合同の避難所防災訓練が行われました。約100人近い町会の方が集まり、防災トイレの組み立て、緊急時の飲み水供給、災害時の連絡手段の確認など、来る震災時の想定をしながら真剣に訓練に取り組んでおりました。それらにより、行政の災害に対する啓発活動がかなり浸透しているのを痛感いたしました。訓練に参加された多くの方が、避難所となる学校の備品や備蓄品が置いてある場所とその状況を把握することができてよかったとの声をいただいております。
26年度に修正された東京都台東区地域防災計画上は、台東区の震災の被害想定として、震源を東京湾北部、規模マグニチュード7.3、昼間人口を30万人、夜間人口を18万人、時期・時刻については、冬の朝5時、そして12時、夕方の18時で、最大人的被害を負傷者6,000人、物的被害においては9,500棟の全壊と予想されております。区は、首都圏直下型大地震の被害を少しでも減少させるため、東日本大震災以降、地域防災計画の修正、初期消火体制の強化、そして、避難所などにおける備蓄品の充実など、震災対策の充実を推進してきております。
今後、区民のさらなる安全安心の次のステップに必要だと感じたのは、避難所運営についてです。災害時は、複数の町会が1つの建物の中で数日間生活を行うことになります。避難所運営については、食料の確保だけでなく、仮設トイレの設置やけが人、病人の応急場所確保などが必須となります。台東区も3.11の大震災以来、45ある避難所において、避難所運営委員会の開催を進め、それぞれに避難所ごとのマニュアル作成を推進すべく努力されておりますが、幾つかの避難所に合同マニュアルを作成したにとどまっており、現在のところマニュアル作成は進んでいないと伺っております。
避難所運営においてマニュアル整備も大変必要なことではありますが、避難所をより円滑に運営していくためには、専門の知識を持った方が各避難所に1人でもいていただけることが大変心強いのではないでしょうか。避難所運営について有効な知識を得るには、防災士という資格があります。防災士とは、自助、共助、協働を原則とし、社会のさまざまな場で防災力を高める活動が期待され、そのための十分な意識と知識、技能を有する人を言います。日本防災士機構が行う避難所運営訓練や避難経路確保の図上訓練を含む研修と試験を受け、さらに消防署等が主催する救急救命講習を経て認証される資格となっております。現在、全国で10万人が認証されており、東京は約9,000人が認証されております。防災士の資格は、自衛消防団に所属されている場合は半額助成がされているようですが、通常は2日間講習で約6万円が必要となっております。避難所をより円滑に運営していくため、各町会を中心に活躍される方々の防災士資格取得を推進すべく、災害時の避難所運営において活躍が期待できる防災士の取得費用の助成を行うべきと考えますが、区長の所見をお伺いいたします。
2点目は、新しい防災機器と水害対策について伺います。
近年、地球温暖化による異常気象が世界中で発生しております。日本でも同様に、狙い撃ちしたかのように局地的に雨が降るようになっており、記録的な猛暑、記録的な集中豪雨、記録的な長雨など、記録的と形容される異常気象が続いております。
集中豪雨による被害でいえば、26年8月には広島県で大規模な土砂災害が発生し、多くの方々のとうとい命が奪われ多数の家屋が崩壊いたしました。このときの雨量は1時間に100ミリを超える猛烈な雨が観測されております。また、27年9月には、台風18号と温帯低気圧による集中豪雨が発生し、栃木県や茨城県など北関東全域に記録的大雨が降り、茨城県常総市の堤防が決壊し、浸水域は約20平方キロメートルに及び、約6,500棟が浸水するなど、甚大な被害をもたらしております。栃木県では、3日間の雨量が500から600ミリに達した地点もあり、栃木県や茨城県、埼玉県、福島県の10地点以上で観測史上最多を更新しております。
これら自然の猛威を目の当たりとしたとき、被災された方々への思いをはせるとともに、自分の住んでいる台東区が同様な猛威にさらされてしまったときに備え、対応策を講じておかなくてはと考えさせられました。台東区の場合、氾濫による洪水被害が想定される河川は荒川と神田川の2河川あり、荒川などの大河川は広い流域を形成しており、ひとたび氾濫した場合は、下流域にある台東区は甚大な被害を受けるおそれがあります。
台東区が作成した洪水ハザードマップによれば、荒川流域で3日間の総雨量が548ミリを超えた場合、荒川で氾濫が起こり、最短6時間で台東区の北部が浸水、12時間でほぼ区内の3分の2が浸水するとなっております。また、最も深い浸水は5メートル程度で数日間続くとの想定がなされております。荒川の決壊要因となる3日間の総雨量548ミリはおおむね200年に1回起こる大雨との記載もなされております。さきにも述べましたが、鬼怒川の氾濫は、ウェザーニュース予報センターによれば、鬼怒川流域の日光市今市では、24時間の雨量が541ミリなど、鬼怒川の流域平均雨量は400ミリを超えており、これは国土交通省が想定した100年に1回の頻度で発生する可能性がある流域平均雨量、これはつまりは3日間で362ミリを超過したとのことでした。
昨今の異常気象による集中豪雨を鑑みれば、荒川決壊は現実的な恐怖として捉え、対応を強化していかざるを得ない状況となってきております。区内で洪水が発生し、道路に水があふれてしまった場合、基本的に屋内にとどまることは大切ですが、その場所の安全性が不確かな場合などは移動しなくてはならない場合もあり得ます。人が歩ける水の深さは約50センチと言われており、50センチを超えると成人男性でも歩行が困難になり、危険が増大するそうです。ましてや子供や高齢者、病人などの移動手段としては防災ボートが有力な手段となります。
現在、区は大洪水対策として4つのゴムボートを所有していると伺っておりますが、この備えで十分なのでしょうか。昨今では障害物からのダメージを吸収し、岩や倒壊した建物程度では破損しない耐久性があり、場所をとらない折り畳みボートなども開発されております。こういった災害時に、より威力を発揮できるすぐれた防災用具を積極的に取り入れていくべきと考えております。区民の関心が高まってきている大規模水害対策として、区が所有する4つのゴムボートのほかに、災害時に、より威力を発揮する実用性のすぐれたボートを追加整備するなど、水害に対する防災力をさらに向上させるべきと考えますが、区長の所見をお伺いいたします。