犯罪抑止について (落書きについて)

1点目は、犯罪抑止についてです。
石原都知事時代に副知事をされていた青山氏の「東京23区格差」という本で、昼間人口と流出人口の合計を犯罪発生件数で割った犯罪発生率は、台東区が、豊島区、渋谷区、新宿区を抜いて1番という記載があり、大変驚いたのを覚えております。ただし、算出のもとにしている国勢調査データが22年度になっているなど、ありましたので、警視庁の市区町丁別、手口別認知件数によると、台東区は28年度、3,904件、23区中14位となっております。昨年より件数は減少しておりますが、隣接する文京区は1,573件、荒川区は1,999件となっており、台東区の発生件数は多い状況となっております。
犯罪抑止の例を挙げれば、1980年代、ニューヨーク市では、当時、旅行者はニューヨークの地下鉄には絶対乗るなと言われたくらい、その治安はひどい状態でありました。対応として、当時の交通局がラトガース大学教授のアドバイスのもと、治安回復を目指し、地下鉄治安崩壊の象徴ともいうべきこの落書きを徹底的に掃除をするという方針を打ち出し、実施し、結果的にニューヨークの地下鉄の重犯罪事件が激減したと報道されておりました。
区内で実際に見ることがある犯罪として一例を挙げると、スプレー等でさまざまな場所に落書きをされているのをよく見かけます。落書きは、刑法の器物損壊罪に該当し、30万円以下の罰金がかかる犯罪行為です。空き地の隣の家の壁や町会の掲示板、電柱、そしてトランスなどに落書きをされているのをよく見かけます。落書きは、空き巣などのさらなる犯罪につながるおそれもあり、落書きを放置すれば、この街の人たちは周囲のことに無関心だと思われやすく、さらに落書きをされてしまいます。無関心だと思わせず、犯罪を許さないまちの強い姿勢を示すためにも、落書きをされたら早く消すことも重要となっております。
落書きを含む犯罪抑止としては、防犯カメラの増設も有効です。防犯カメラの設置について、台東区では、防犯設備整備費用の助成制度があり、助成制度で設置された防犯カメラは約600台と、着実に防犯カメラは区内にふえてきておりますが、予算的に設置が困難な町会や商店街があり、設置できていない箇所も多々あるのが現実となっております。
現在、年間5,000万人が来街し、2020東京オリンピック・パラリンピックに向けて、さらに来街者の増加が予測される台東区は、日本一の観光区を目指し、落書きなどを含めた犯罪に対する区民の意識啓発を早期にするべきかと考えますが、区長の所見をお伺いいたします。
2点目は、スクールソーシャルワーカーの増員についてです。
近年、教育を取り巻く社会の動向は大きく変化をしております。例えば、核家族化の進行、ライフスタイルの多様化に伴い、家庭や地域社会も大きく変化し、家庭の教育力の低下、地域活動の担い手の減少などが懸念をされております。また、子供たちの触れ合いの機会が減少することで、人間関係の持ち方やルールを学んでいくといった社会生活の基盤を培う体験の機会も減少しております。
その対応として、専門知識を有した人材の配置が必要となります。既に台東区で導入されているスクールカウンセラーは、子供たちの心理に着目するのに対し、スクールソーシャルワーカーは、子供たちの環境に着目いたします。さらに、スクールソーシャルワーカーは、学校、家庭、児童相談所、子ども家庭支援センター、行政、医療機関と独自のネットワークを持っており、それぞれの立場をつなぐことで、子供を取り囲む環境を改善していきます。