スクールロイヤーの導入検討について

次は、スクールロイヤーの導入の検討についてです。
日本では余りなじみのない言葉ですが、簡単に言えば、スクールソーシャルワーカーが、学校をサポートする福祉の専門家であるのに対し、スクールロイヤーは、学校をサポートする弁護士のことです。
文部科学省は、今年度は実験的に全国2カ所で導入し、有用性について調査研究しており、ことしの予算は300万円でしたが、来年度は予算の概算要求を約5,000万円にふやし、全国10カ所に拡大すると報道されております。背景の一つには、4年前にいじめ防止対策推進法ができたのに、不適切な対応がなくなっていないことを重要視していると私は考えます。
学校をサポートするといっても、いわゆる学校や教育委員会の代理人として学校の利益を一方的に代弁したり、擁護したりする存在ではございません。あくまでも学校をサポートすることを通じ、子供の最善の利益や子供の成長発達を保障することができる学校環境を実現することを目的とする存在であり、第三者性を持った専門職のサポーターとなっております。
ここ数年、学校における保護者対応が困難化し、学校関係者が疲弊し、精神的に潰れてしまったり、子供が事実上、放置されてしまうなど、子供の最善の利益が脅かされるような事態も珍しくなくなっております。また、対応が難しい学校事故も増加し、深刻な暴力ケースや非行ケースなど、司法機関や福祉機関との適正な連携が求められるケースもふえてきております。
そのような中で、学校関係に詳しい弁護士に対するニーズも大変高まっております。学校でのいじめについて、現状では、訴訟に発展してから自治体の弁護士がかかわるケースがありますが、スクールロイヤーによって、学校現場から早い段階で専門家の助言を聞き、いじめ問題の対応が、いじめ防止対策推進法などの法令に基づいているかを確認することもできるようになります。
そこで、弁護士側の受け皿体制を充実させることを含め、本格的な制度として位置づけていく必要があるため、スクールロイヤー配置の検討をする必要があると考えますが、教育長の所見をお伺いいたします。
次は、学習支援講座のステップ・アップについてです。
ステップ・アップについては、28年度より台東区立の中学生生徒のうち、基礎学力向上及び学習習慣の定着が必要、かつ自己の学力向上を図ろうとする意欲を持つ生徒に対し、民間教育事業者を活用した補充学習の機会を提供することにより、学力向上を図る目的に開始された事業で、現在は英語と数学を対象とされております。
基礎学力を身につけたいという対象のお子さんが集まっている事業ですが、その中でもやはり力の差があり、それを一斉指導の中で、どの子にとってもわかりやすい講座にするというのは難易度、進め方、教材等のプリントの使い方、こういったものをどのように改善していくかということは、毎回の大きなテーマとして協議されております。
その対応として、さらに幾つかの改善が必要で、例えば一斉指導ではなく、少人数制、可能ならばマンツーマン指導の導入も必要かと思います。個別にその子供に合ったレベルから復習、教えていかなければならないと考えます。
例えば、数学では、プラス・マイナスの数、いわゆる正負の数が理解できないと一次方程式や関数などは理解できないと思います。ただし、逆に、プラス・マイナスを理解している生徒には、限られた時間なので、一斉指導など無駄に思えてしまうものがあるのではないかと思います。現在、対象を中学校1年生から3年生としておりますが、本当に基礎レベルを身につけなければならないのは小学生の時期ではないでしょうか。
今後も重要な事業となる学習支援講座のステップ・アップについて、本来の効果を出すために、まずは少人数制を初め、さまざまな工夫をするべきかと思いますが、今後の対応について、教育長の所見をお伺いします。