介護人材の確保・定着に向けた取り組みについて

◆青鹿公男 委員 つなぐプロジェクトの青鹿公男です。今回は3点、総括質問をさせていただきます。
1点目は、介護人材の確保・定着に向けた取り組みについてです。介護人材不足の深刻さはこれまでも言われているところですが、今や日本社会全体で働く人が不足し、各産業分野で、いわゆる人手不足が取り上げられております。そうなると、介護人材不足にもますます拍車がかかることになるのではないでしょうか。
人材の確保・定着は、第一義的には事業者の守備範囲ですが、介護報酬だけでは、都心の老人福祉施設の経営は成り立ちにくいのが現状であり、現に区立の老人福祉施設は、指定管理料として、区が赤字分を補填しております。区が積極的に人材の確保・定着に向けた対応を行っていかなくては、なかなか実効性が担保されないのではと懸念をしております。
事故がなく、高齢者の尊厳が守られ、良質な介護サービスが継続されることは、区の高齢者保健福祉計画、そして、介護保険事業計画の目指すところでもあります。地域包括ケアシステムは、言ってみれば、人材と人材のネットワークであり、老人福祉施設もその一翼を担っております。
そのような観点からも、事業者の人材確保、特に介護従事者の離職率の低減が重要な課題となっております。30年度の予算案には、介護人材の確保策として、介護資格の取得に必要な研修受講費用を助成する事業が新規に計上されており、大いに評価するものですが、人材の定着策としての対応は、十分なものとは言えないのではないでしょうか。
平成28年第3回定例会の総括質問で、介護ロボットの導入の促進につきまして、質問を行いました。28年度に、区内5事業所が参加され、介護ロボット導入効果を国が検証中との答弁がございましたが、国の検証結果を待っていては、その間に離職率はさらに上がってしまいます。
昨年12月18日に、台東区社会福祉事業団での実践報告会が行われ、介護ロボットについて、介護スタッフの体に直接装着することで、腰にかかる負担を軽減することができるHAL介護支援用・腰タイプの報告がございました。使用前と使用後での感想や効果の説明があり、腰の負担軽減には一定の効果があるのはわかりました。しかし、1台当たりの価格が150万円と高価であり、現実に多くの介護する方の皆さんが使えるようになるには、費用と時間がかかってしまいます。
介護従事者の負担軽減に役立つものは、高価な介護ロボットだけではございません。例えば、作業負担の軽減が期待できる簡易な装具として、漁業や介護施設で使われ始めている腰痛サポートウェアなどもございます。私も、実際装着をしてみましたが、装着が簡単で、腰痛軽減がされ、1台当たりの価格もHALの何十分の1の費用なので、初期コストが抑えられ、多くの人が使えるようになり、負担軽減がされ、短期的な対応としては大変有効かと思われます。
また、区内施設の視察に行った際、離床センサーや低床ベットなどの最新機器などについても、以前に比べ、さらに高性能になり、価格も導入しやすくなっている機器もあると伺いました。
台東区は、23区中4番目に高い高齢化率となってございます。国の介護ロボット等の導入結果を待たずして、台東区が率先して区内の事業者から情報を集め、効果が認められる機器や装置について、まずは導入することで、少しでも早期に、介護者の負担を軽減するべきです。介護する方の心と体に少しでも余裕が出れば、結果として、介護をされる区民の皆様の安心にもつながると思いますが、区長の所見をお伺いいたします。
○委員長 区長。
◎服部征夫 区長 青鹿委員のご質問にお答えいたします。
区では、これまで事業者への支援として、介護技術向上のための研修等を実施してきたところですが、平成30年度からは、資格取得の費用助成を行い、介護人材の確保・定着に向けて取り組んでまいります。
今、委員ご指摘のとおり介護ロボットについては、28年度、台東区社会福祉事業団を含めた区内の5つの事業所に、導入時における支援を行い、現在、各事業所において効果を検証しているところです。今後は、この検証結果や国や東京都の動向、他自治体の取り組みも参考にしながら、効果が認められるものについては、その導入について検討してまいります。
○委員長 青鹿委員。
◆青鹿公男 委員 ご答弁ありがとうございました。今回の予算案では、介護資格取得の費用助成が、今お話しいただいたように、盛り込まれていたり、新たな高齢者保健福祉計画、そして介護保険事業計画でも、介護ロボット、そしてICTなどの活用、介護職に関する普及啓発が上げられておりまして、区のご努力に敬意を表するものでございます。
しかしながら、これらの施策が効果を発揮するのは、もうしばらく先になるのかと思います。国も介護職の処遇改善に力を入れておりますので、区としても短期、中期、長期のさまざまな視点から、介護人材の確保・定着にさらにご配慮いただくよう、要望をさせていただきます。