高齢者・障害者の方々の段差不安解消に向けて

ほぼ毎定例会において一般質問の機会をいただきました、会派の諸先般方に感謝を申し上げ、早速区長と教育長にご質問をさせていただきます。

 1項目めは、高齢者・障害者の方々の段差不安解消に向けてご質問をいたします。

 平成18年12月、それまでのハートビル法と交通バリアフリー法を統合、拡充した新しい法律である高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、通称バリアフリー新法が施行されました。この法律が生まれた背景は、それまでにあった法律によって個別の施設のバリアフリー化は進められていたものの、連続的、面的なバリアフリー化が進展しなかったことや、ソフト面での対策が不十分であったことでした。平成30年5月には、このバリアフリー新法が改正され、バリアフリー化の取り組みの実施に当たり、国は公共事業者等において接遇、研修のあり方を含むソフト対策のメニューの作成や、市町村においてのバリアフリー方針を定めるマスタープラン制度の創設など、共生社会の実現、社会的障壁の除去に留意すべき旨が明確化されるなど、全ての人々が安心して生活、移動できる環境の実現に向けた法整備を進めています。

 台東区では、バリアフリーの推進を図るべく、平成23年度と24年度に策定した台東区バリアフリー基本構想に基づき、区内全域を重点整備地区とし、各事業者が行う具体的なバリアフリー整備の内容をバリアフリー特定事業計画として作成しました。この計画に基づき、区有施設や公共交通事業者等のバリアフリーへの取り組みを後押ししてまいりました。区有施設では、エレベーターやスロープ、多目的トイレや案内板の設置など、各施設ごとに特定事業が定められ、バリアフリー化が進んできており、一定の評価はしております。

 しかし、この事業計画でバリアフリー対応は十分なのでしょうか。区有施設の中には、健常者の方々が移動するときにほとんど気にもならない段差が結構な数で存在し、高齢の方や障害のある方が困っている現場に立ち合うことも少なくありません。まだまだ改善に向けて目の行き届いていない箇所が相当数あるのではないでしょうか。

 例えば区民の利用率が高い生涯学習センターのミレニアムホールについては、壇上に上がる両脇の階段に手すりがなく、さらに入り口から客席までの通路が階段になっているにもかかわらず、通路側の椅子につかまる手すりがないため、高齢者の方や障害の方が客席に着くまでに大変苦労されているのをよく見かけます。

 また、リバーサイドスポーツセンター体育館の北側部分の階段には手すりが全くなく、上りおりに大変苦労をされております。いろいろな大会では、会場配置によっては南側にあるエレベーターまで行けない場合もあり、北側にもエレベーター設置が望まれますが、まずは手すりの設置が必要かと思われます。

 今上げたミレニアムホールやリバーサイドスポーツセンターの例は、現在の特定事業計画には記載がなく、区のバリアフリー対策の対象とはなっておりません。大規模改修に当たっても、台東区公共施設保全計画では、バリアフリー対応については長寿命化設計指針の中で、より長く利活用されるようユニバーサルデザインの採用に努めますという記載があるだけで、どのレベルのバリアフリー対応を行うのかが疑問となっております。区有施設のバリアフリー特定事業は、バリアフリー基本構想作成時に取りまとめられた建築物共通の配慮事項を考慮し、策定をされておりますが、民間の模範となるべき区有施設においては、さらなる配慮が必要であり、もう一つ上のランクのバリアフリー対応が必要ではないかと考えます。

 高齢者・障害者の方々の段差不安解消に向け、より一層のバリアフリー対応の充実を区有施設において行っていただきたいと強く要望いたします。そのため、まずは現状の区有施設について、区民のニーズについて適切な現状を把握し、まだまだ目が届かない箇所の改善点を見つけ、改善を推進するべきだと思いますが、区長のご所見をお伺いさせていただきます。

 

         (区長服部征夫さん登壇)

◎区長(服部征夫 さん) 青鹿議員のご質問にお答えいたします。

 ご質問の第1は、高齢者・障害者の方々の段差不安解消についてです。

 台東区では、バリアフリー基本構想に基づき、高齢者や障害者の方々が日常的に利用される施設において、必要な箇所へのスロープや手すりの設置など、施設のバリアフリー化を推進しています。また、心のバリアフリーとして、積極的に介助を行うことを啓発しています。

 

 今後も区有施設において、高齢者・障害者の方々に安心して施設をご利用いただけるよう、状況の把握に努めるとともに、利用される方々のご意見を伺いながら、ハード・ソフト両面でのバリアフリー化を一層進めてまいります。