近隣型商店街の振興について

近隣型商店街の振興についてご質問いたします。

 台東区は、区内産業の目指すべき姿として「世界に躍動する産業都市 たいとう」を掲げております。その中で設定した五つの重点プロジェクトの一つが近隣型商店街活性化プロジェクトとなっております。

 近隣型商店街は、地域生活を支え、コミュニティー形成の役割を果たしていくため、今後さらに地域特性を生かしながら近隣住民のニーズに応える商店街づくりが必要となっております。

 その対応として、台東区は、近隣型商店街の活性化や魅力創出につながる制度を数多く整備をしております。例えば地域貢献につながる事業者に対し区が賃料の一部を支援するほか、空き店舗対策として所有者に対しても店舗と住居を分ける改修費用の一部を助成する制度などが開始をされております。

 また、台東区産業振興計画の資料によると、商店街全体の売り上げは過去5年前と比較すると増加した商店街が3割、横ばいが3割強、減少が3割弱となっており、特に近隣型の商店街では厳しく、来街者、観光客を対象とした広域型、観光型は比較的好調となっております。全体的な課題は後継者不足となっておりますが、商店街タイプ別に見ると近隣型では商店街に集客の核となる店舗がない、または少ないなど商店街の魅力、集客力の低下が上げられております。

 区政サポーターの商店街利用のアンケートの中で日ごろ商店街をよく利用すると回答された方が1割を切るなど、区民の商店街離れが深刻な状況になっているのがわかりました。私の実家がある商店街も1年半後には電線類地中化も終わり、道路も舗装され、きれいになり、これからというところではございますが、空き店舗がふえ、落書きなどもふえてきており、景観も悪化をしてきております。

 多くの近隣型商店街は、いわゆる家族経営で対応されている店舗も少なくない状況です。家族のみで商売を営んでいる店舗の課題を上げると、新たな対応、例えば急速に普及した精算、決済システムへの対応です。区内にはマンションもふえ、若い新住民や外国人の方もふえてきている中、クレジットカードやスマートフォンなどの携帯を用いた決済に対応できていない店舗は敬遠され、それらが使える大規模店舗に顧客が流れているのを見受けます。近年では決済端末の導入コストや手間は大変少ないにもかかわらず、日々の商売に追われ、研修やセミナーに参加できず、新しい助成金等の支援情報も取得することが難しい状況となっております。支援体制があっても導入検討が十分に行われないため、新たな一歩が踏み出せないのが近隣型商店街の店舗の現状と考えます。

 商店街が行うイベントで来街者をふやし、商店街を認知してもらうのも重要ですが、それ以上に今必要なのは、商店街にある各個店が元気を取り戻すことではないでしょうか。そのためにはそれぞれの店の売りを診断、助言したり、個店が活用できる制度を店主に伝える専門家を持つことや新しいことにチャレンジしたり、支援制度を活用した成功事例を商店街のキーマンから聞き、そうした商店街内での交流を持つことなど個店の経営者を支える人とのつながりが重要であると私は強く考えております。

 人とのつながりで二つ例を挙げると、あきる野市では、地元商店街43店の店主らが講師役となり、専門店ならではの知識などを伝えるまちゼミが開かれております。クリーニング店主による洗濯講座など56にもなる多彩な講座でその商店街ならではの味や文化を伝えております。

 また、浜松市中区にあるゆりの木通り商店街は、商店街の玄関口に当たる駐車場に大きな黒板とキッチンルームの交流スペースをつくり、そこに商店街の店主だけでなく、学生やクリエーターなどさまざまな人が集まり、出会うことで新しい刺激やアイデアが生まれ、まちの人を楽しませる企画が次々と出て実践をしております。商店街自身のイメージを変化させると同時に、新規出店する者が地域とつながりやすい環境を整えていった結果、2013年67店舗でしたが、2017年には90店舗にふえたそうです。どちらの事例もキーとなるのは、全て人ではないでしょうか。

 これまで区長は、近隣型商店街に関するさまざまな施策を積極的に進めていただいておりますが、さらにそうした施策が商店街の個店へあまねく及ぶように個店経営者支援に着目した近隣型商店街振興に取り組むべきだと考えますが、区長の所見をお伺いいたします。

 前回に続きまして毎定例会ごと一般質問の機会をいただきました会派の皆様にお礼を申し上げ、私の一般質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。