今後の本庁舎(台東区役所)機能のあり方について

昭和22年3月15日に地方自治法が制定され、新たな23区制が同年8月から発足いたしました。これにより下谷区と浅草区が合併し、「台東区」は誕生しました。

合併に伴い、旧下谷区役所は、台東区役所下谷庁舎に。旧浅草区役所は、浅草庁舎となっていましたが。国などからの事務移管なども進み、事務量は増大。それに伴い、庁舎も更に分散化して。既存庁舎の老朽化などの課題もあり。

「区民の利便と事務能率の増進、経費削減」を建設目的に、総合庁舎建設計画が進められ旧下谷区役所の敷地をベースとして、昭和48年8月に鉄筋コンクリート地上9階・地下2階の近代的なビルとして、現在の本庁舎が完成しました。その後、昭和61年に10階を増築し、平成元年には西側エレベーター2基を増設。現在の建物となっています。

 

建物完成から35年以上が経過した平成23年度から、大規模改修を実施し。

設備関係の老朽化への対応をメインとした改修が行われ、現在に至っていますが。

落成から47年が経過しており、そろそろ新庁舎の整備に向けた検討を行う時期に来ているのではないか、と考えます。

 

今定例会を含む直近の委員会などで、台東区の所有する大規模用地の活用が、次々と報告されています。

例えば、本庁舎の隣にある旧下谷小学校跡地は、上野警察署との用地交換が決まりました。

旧竜泉中学校跡地には、福祉施設を新設するとの報告もありました。

旧坂本小学校跡地は、文化・スポーツ・防災拠点に活用。旧郵政小包跡地も北部活性化に向けての拠点として位置付けられており、活用計画の作成に向けて検討が進んでいます。

大規模用地が有効活用されていくことは良いことですが、本庁舎を移設するにしてもその移設のための土地は必要ですし、改築するにしても業務継続するための代替地は必要であり。

新庁舎の整備に向けたタネ地がなくなっていくことになっていきます。

 

台東区史によれば。

昭和33年1月の区議会に「総合庁舎についての特別委員会」が設置され、翌年の34年に総合庁舎建設案が区議会で議決されていったようですが。庁舎の敷地選定がかなり難航したようで。特別委員会設置から新庁舎完成まで、15年という月日を要しています。

 

他区の例でいえば。豊島区では、全くあらたな発想で全国初となるマンション一体型新庁舎を開設しています。総合窓口や福祉総合フロアは、年末年始を除いた土日すべてを開庁するなど日本一便利な窓口を目指しているそうです。計画をみると平成16年に地域の開発事業会を立ち上げ、18年の新庁舎整備方針を経て、27年に開設となっています。つまり約10年が費やされたことになります。隣の墨田区、渋谷区も同様の年数がかかっているそうです。

 

平成も令和となりましたが、社会の急激な変化への対応がよりスピーディーに求められています。本庁舎機能に求められるものが、ハード面でもソフト面でも、今の庁舎で対応していくことが難しくなっていくのではないでしょうか。

現在でも、多様化する区民ニーズに対応するための事務スペースの確保やユニバーサルデザインの推進、窓口サービスの向上、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギービル)を目指した省エネ化や、ICT環境の整備などの課題を解決するためには、かなりのハード整備を伴うものばかりです。

防災機能の確保も重要です。

自然災害も多数発生している中、昨年は台風19号などの水害が発生し様々なケースで課題がでました。本庁舎には、屋上に非常発電はあるものの、主力電力は地下2階にあり、昨年よりも大規模な水害が来たときは役所内の機能が麻痺するのは明白です。谷中防災コミュニティーセンターに本庁舎機能を移転し、行政機能の維持に努めるとありますが、やはり区民にとっては、本庁舎が中心であり、しっかり災害時も機能するようにするべきだと考えますし、震災時でも、しっかりと行政機能を維持できるより強固な施設整備は必要なのではないでしょうか。

 

財政面においても、新庁舎の整備には多額な資金が必要です。今後厳しい財政運営を余儀なくされていく状況を考慮すれば、新庁舎整備も含めた財政計画には、相応な期間が必要となってくるのではないでしょうか。

 

台東区の行政の中枢ともいえる本庁舎機能のあり方について、そろそろプロジェクトチームを立ち上げ、創意と知恵を集結し、次世代にわたる長期的な視野をもとに、区民の皆様に新たな負担をかけず、未来を見越した利用しやすい本庁舎の検討に入るべきかと思いますが区長の所見をお伺いいたします。