台東区におけるオリンピックパラリンピックのレガシーについて

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会は、来年7月24日の開会式に先駆けて22日に行われる福島のソフトボール試合まで、残すところ240日となりました。
 
今回の東京2020大会には、大会への出場が期待される注目選手が台東区にも数名います。
3人制バスケットボール国内ランキング1位の落合智也選手や、フェンシングで日本ランキング5位の松山恭助選手、パラアーチェリーでは、宮本リオン選手などです。前回のリオのオリンピックには区内在住の選手はいませんでしたが、今回は違います。これら選手の方々を、大会が間近に迫った今だからこそ、もっと区を挙げて応援する。そういったこともぜひ行って頂きたい、と思っていますが。今回は、オリンビック・パラリンピックの開催後の対応、レガシーについて伺います。
 
今から6年前のブエノスアイレスで開催された、第125次国際オリンピック委員会総会において,オリパラの東京開催が決定しました。台東区としても、オリパラ開催に向けて、長期総合計画の中で、区が一丸となって優先的に実施する施策として5つの重点プランを作成し、様々な事業を展開しています。その5つの重点プランでは。
1点目は外国人観光客歓迎プランとして、インフォメーションボードの整備や、WIFI―の整備など。
2点目は、おもてなしの心育成プランとして、花の心プロジェクトで花を中心に町を飾り、並木通りの中央分離帯の4か所に、アサガオの花の形のオブジェを設置し、おもてなしの町を世界にアピール。
3点目は、ハードとハートのバリアフリー推進プランとして、公共交通、建築物、道路などにおけるバリアフリー整備を推進。
4点目は、千客万来受け入れプランとして、観光バス駐車対応や、さわやかトイレの整備など。
そして、5点目は、歴史と文化の町プランとして、国内外でのシティーセールスの展開や、SNSによる多言語観光情報発信等です。
また、万古不易として東京2020大会レガシーの創造として、 旧東京音楽学校奏楽堂オープンや障害者アーツ、障害者スポーツ普及促進として、シッティングバレーボールの国際大会の開催なども、おこなってきました。
さらに、小中学校においては、台東区オリンピック・パラリンピック教育推進校として、「スポーツ・健康」「国際理解」「おもてなし」「志」「ユニバーサルマナー」の5つの指針を推進するよう事業を展開していて。例えば、平成小学校では言葉が分からなくても情報を伝えることができるピクトグラム作成や、浅草中学校がパラリンピック選手の講話を行ったと伺っております。
 
これらプランや事業等は、オリパラ開催後、どうしていくのでしょうか?
 
前回のロンドンオリンピックから、概念として「レガシー」というキーワードが使われ始めました。
 
レガシーの意図するところは、オリンピック開催に伴い整備したインフラストラクチャーを無駄にすることなく、オリンピックを体感した若い世代の豊かな人間性の醸成を促すことにあります。具体的には、IOCが2013年に発表した『Olympic Legacy Booklet』という冊子[1]に指針として記載されていて。競技施設やスポーツ振興のスポーツレガシー、世界の地域として社会レガシー、都市の再活性化などの環境レガシー、新たな景観、交通基盤などの都市レガシー、経済成長などの経済レガシーなどがあります。
 
前回の東京オリンピックが開催されたのは、1964年。日本の高度成長期真っ盛りでありました。まだまだ、都市としてのインフラ整備が不十分であった時代であり。オリンピック開催によって、日本の大都市圏を結ぶ輸送手段としての東海道新幹線開通や首都圏の交通網を発達させた首都高速の建設など、東京の首都機能を飛躍的に向上させたインフラ整備が行われ、首都東京が世界的都市へと変貌する契機となりました。
 
そういった時代だからこそ、あえて「レガシー」という概念は必要ではなかったのかもしれません。
しかし、都市も社会も成熟した現在は、ロンドン同様、「レガシー」という概念は、大変重要であります。
 
オリンピックパラリンピック開催を契機として今までに実施してきたプランや事業等は、大会終了後においても、レガシーとしてしっかりと継続・発展させていくべきです。
 
大変残念な話ですが、台東区内もコースに予定されていたマラソン競技と競歩競技が、オリンビックでは札幌で開催することがIOCで決定されてしまい、結果、台東区内では1つも種目が開催されない事になりました。
ちなみに1964年の東京オリンピックについてIOCのホームページ内のメモリアルプレイスをみても、前回も台東区は会場その他になっていませんでした。
しかし、パラリンピックでは、台東区内がマラソンコースとなっています。
パラリンピックは、障害者スポーツの祭典としてだけでなく、超高齢者社会を迎えた日本にとって、障害の有無や年齢、性別などの違いを超え、誰もが活躍できる社会へと変わる契機となることが期待されます。今大会のレガシーとして、ユニバーサルデザインが、しっかりと台東区に根付いていくよう今大会終了後も推進していってほしいとつよく願います。
 
台東区民にとって、今回のオリンピックパラリンピック開催後のレガシーをどのように残していくのか、展開されていくのか区長の所見をお伺いいたします。