日本の電柱の数は、電線のない街づくり支援ネットワークによると、2016年時点で約3500万本、毎年7万本ずつ増えているとのことです。
電柱は、災害時に大変な凶器になりえます。
倒壊して緊急車両が通れなくなるということだけでなく、被災時の停電による影響も深刻です。さらに電柱の上に付いているポリバケツのようなトランスは、大きいもので一個500㎏のものが通常2~3個ありますので。重さ1トンの物が10m以上の高さから倒れてくるというのは考えるだけで恐ろしいです。それ以外にも電線が切れて銅線がむき出しになり、子供が触って感電するかもしれません。
それら災害時のリスクを軽減できる電線類地中化は、電力線・通信線等や関連施設を地中に埋設することで、地震や台風などが多い日本において、大変有効な対応となります。
また、電線類地中化は、災害に強いまちづくりに寄与するだけでなく、景観に配慮したまちづくりができる点、さらには、電柱がないことでベビーカー、車椅子利用者、身障者の方も道路を通りやすくなるなどのメリットがあります。
世界の無電柱化率をみるとロンドン、パリ、香港、シンガポールなどは100%となっている中、日本では政令市等でも進んでいない状況がうかがえます。
平成25年に道路法第37条が改正され、平成28年に緊急輸送道路については、新たな電柱の占用を禁止する措置を開始しました。しかし、無電柱化率が5%を超えているのは、東京23区、大阪市、名古屋市のみ、3%を超えているのは、静岡市、福岡市、横浜市、千葉市のみという結果となっています。
日本で最も無電柱化が進んでいる東京でも、実際は、幹線道路がほとんどで、生活道路での無電柱化が進んでいません。現在、都においては、「東京都無電柱化推進計画」(平成26~32年度)に基づき、現道内工事と道路新設・拡幅工事の双方で事業を推進しており、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、令和元年度までに、センターコアエリア内の都道や競技会場周辺の無電柱化完了を目指しているとのことです。
台東区も、区道の無電柱化を推進するため、電線類地中化事業のモデル実施を行っています。上野から浅草を結ぶ合羽橋本通りと浅草周辺の馬道通りを対象として、平成21年度から調査を開始し、馬道通りは28年完了、合羽橋本通りの工事も今年度中に3工区のうち1区画部分が終わる予定で最後の仕上げの工事が行われています。
馬道通りが7年間で終了したのに対し、かっぱ橋本通りの工事が11年間となった主な要因としては、支障移設工事の段階で、水道管やガス管、所有者不明の管路など支障物件が多かったこと、本体工事の段階では、道路地下の収容空間に制約があったことや、施工時間帯が夜間になり沿道への影響があったことなどが上げられます。
また完成間際の今年に入って、電線類が地中化されると七夕まつりの時に笹が飾れないなどの新たな課題もでてきました。それらの様々な課題に対し、所管のご担当者が本当に何度も商店街をはじめ地域に足を運び説明にきて調整いただいた結果、課題を乗り越えられたと考えております。
馬道通りと合羽橋本通りの工事をもとに電線類地中化の様々なノウハウも蓄積できたと思います。また、工法について、今までは電線共同溝が主流ですが、新しい考えとして例えば、俗に建物の軒下に配線するとか、あるいはメーンの通りを無電柱化するために建物の裏側に配線を通すとか、そういった形で対象の道路を無電柱化するという方法もあると伺っております。
新たに、谷中三丁目及び浅草一丁目、二丁目において無電柱化の調査を行っている段階と報告もありましたが。電線類地中化は、費用は大きいだけでなく、住民の協力・理解がないとできないと思います。かっぱ橋本通りの残り2/3の部分も住民の方から意見を今一度十分伺った上で対応を進めて頂きたいと考えます。また、その他の区内の生活道路についても様々なメリットがある電線類地中化を進めて頂きたいと考えております。
区民にとって、安全・安心だけでなく、景観にもユニバーサルデザインにも寄与する、電線類地中化を台東区内今後どのように進めていくお考えか区長の所見をお伺いいたします。