新型コロナウイルス感染症対応の総括について

新型コロナウイルス感染症は、今年5月に5類になりましたが、最近では、新たな変異株「エリス」もでてきています。一方、インフルエンザも季節外れの流行でこの時期としては、過去最高の報告数になっています。その状況を受けて、国も9月1日に感染症対応の司令塔機能を担う「内閣感染症危機管理統括庁」を内閣官房に発足させ、次の感染症などに備え始めているようです。

今回の新型コロナは、1918年のスペインかぜから約100年後に起こったことから「100年に一度のパンデミック」と言われていますが。次のパンデミックが起こるのは、また100年後なのでしょうか?

この20年間だけでも、SARS(重症急性呼吸器症候群)、新型インフルエンザ、MERS、エボラ出血熱、ジカウイルス感染症など様々な感染症が出現してきました。日本では、2014年には70年ぶりとなるデング熱の流行が起こりました。

グローバル化が進行した現在。世界のどこかで発症した感染症が、タイムリーに台東区へやってくる、そういう時代となっています。パンデミックが、いつ起こってしまってもおかしくない状態です。

感染症対応の備えとして、台東区には、2015年に作成した「新型インフルエンザ等対策行動計画」がありましたが、コロナ禍において改善が必要な項目もあったのではないか、と思われます。

 

例えば、人的な体制整備について。

初期には。新型コロナウイルス対応については、保健所が最前線で中心となって対応し。詳細がわかない中膨大な業務をこなすため、職員は連日深夜まで勤務し、本当に日々疲弊しながら頑張っていただいておりました。一年後、第5波が過ぎた頃には、「保健・医療体制確保計画」が策定され、保健所体制の強化を図るため、医師会や病院との連携、外部人材の活用、全庁的な応援体制の整備などが行われ。第6波のオミクロン株による急速拡大の経験を踏まえ計画改定も行い、保健・医療体制の構築が図られてきました。

しかし、これら計画の策定や改定は、2類の感染症として感染拡大が進行中に行ったものであります。5類に移行するなど一区切りついた今こそ、計画を実施していった中での課題点など、しっかりと検証し、検討しなおすことも必要であると考えています。

また、重症リスクの高い高齢者や子どもたちの事業を所管する、福祉部や教育員会だけでなく、すべての所管で、今回対応したノウハウも蓄積されているはずであり、課題も把握できたはずであります。全庁的な視点でのBCP作成やマニュアル整備も必要と感じております。

 

情報の発信では。

情報開示のタイミングや時期。特に初期段階での、感染症についての詳細がわからず、疑心暗鬼が広まっている中での、個人や地域の情報を、どこまで、いつ開示するかは、判断が分かれるところであり、23区内の中でも、各区によって違いがありました。

例えば、区民から「他区ではこんなことをやっているのに台東区は?」との問い合わせに、「台東区もすでに対応しています」と返答させて頂いた事案がいくつもありました。

情報発信の内容・範囲・タイミングのどれがベストミックスなのか、区民の安全・安心感の向上のために、他自治体との比較も含め、しっかりと検証し向上していって頂きたいと思います。

 

医療資源についても。

台東区は、そもそも総合病院が少なく、中核病院である永寿総合病院でクラスターが起こってしまう、という事態があったこともあり。病院対応など、東京都の対応が軌道に乗るまでの間など、大変な苦労があったと思います。

入院調整においては、都の広域的な入院調整が導入されるまでや、感染が拡大し、都の調整がパンク状態になってしまった際など、患者や介護者の一番近くにいる台東区が、個別の対応をせざるを得ない場面も少なくなかったのではないでしょうか。

          

今回の経験で得た課題を、できる限り改善できるような取り組みを実施していって頂きたいと思います。

 

また、相談窓口の対応や、ワクチン接種オンライン予約などのシステム処理能力の増強対応、後遺症で悩んでいる方への対応など。

 

事例をあげれば、きりがなく本当に評価できる対応と、改善が必要な項目があると思います。コロナ禍の対応が記憶からなくなる前に次の感染症に備え、総括するべきだと思いますが区長の所見をお伺いさせていただきます。

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青鹿公男(あおしかくにお)
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