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ICTを活用した介護の負担軽減と質の向上について
●ICTを活用した介護の負担軽減と質の向上についてお伺いします。
私は、平成28年第3回定例会の決算特別委員会総括質問で、
介護ロボットの導入促進について質問を行いました。以来8年が経過しておりますが、介護分野におけるICTを活用した機器も進化・充実しておりますので、確認の意味も含めて質問をさせて頂きます。
少子高齢化が進行する中、我が国では介護を必要とする高齢者が増加し、その介護を担う人材の確保が、より一層深刻な課題となっています。
台東区も、同様な課題を抱えておりますが、こうした状況の中でも介護サービスの維持・向上に努めていかなくてはなりません。そのためにも、介護する人とされる人の双方にとって、負担軽減と質の向上を同時に
実現するための取り組みが急務となります。こうした課題解決において、ICTの活用は重要なカギを握っています。
ICTの活用は、効率化を図るだけでなく、介護の質そのものを大きく引き上げる可能性を秘めています。そこで今回は、最新のICT事例を交えながら、この技術がどのように介護現場を変えていけるのかをお話ししたいと思います。
現在も、介護の現場では慢性的な人手不足が続いていて、ひとりひとりの介護職員への負担が増加しています。また、介護記録の作業が煩雑で、これがまた職員の負担を増やしています。利用者に向き合いたいのに、記録作業に時間を取られてしまう。この現状を何とかしなくてはいけません。
さらに、高齢者ができるだけ自立して生活できるように支援したいのに、個々に適したケアプランを作るための時間やリソースが足りない。
これも大きな問題です。
こうした課題に対し、たとえば、区内の一部の特別養護老人ホームでは、見守りのためのセンサーを導入しています。これは介護施設や在宅介護で利用されるもので、要介護者の活動状況をリアルタイムで把握できる技術です。中でも『眠りSCAN』というシステムをご存じですか? ベッドに取り付けるだけで、利用者の呼吸や心拍、寝返りの頻度をモニタリングできます。これにより、夜間の見守りが効率化されるだけでなく、急変があった際にもすぐに対応できるようになります。
また、介護記録のデジタル化も進んでいます。『ケアプランアシスタント』というシステムでは、スマートフォンやタブレットを使って簡単に記録を入力できますし、AIが適切なケアプランを提案してくれます。こうした技術のおかげで、記録作業の負担が減り、利用者に向き合う時間が
増えます。
さらに、在宅介護を支える技術も進化しています。『見守りサービス』という仕組みでは、カメラやセンサーを使って要介護者の生活環境を把握し、何か異常があればすぐに通知されるので、遠くに住む家族も安心です。
こうしたICTの導入によって、介護現場にはさまざまな効果が期待されています。たとえば、介護者の負担軽減です。記録やモニタリングが自動化されれば、職員が本来のケア業務に集中できるようになります。また、センサー技術などで要介護者の安全性も向上しますし、AIが個別に適したケアプランを提案してくれることで、介護の質そのものが向上するでしょう。さらに、家族の心理的負担も軽くなります。遠隔モニタリングやオンライン相談の普及で、離れていても要介護者の状況を把握しやすくなるからです。
では、台東区として何ができるか。具体的には、介護事業所や在宅介護世帯が負担なくICTを導入できるような支援が必要だと感じています。また、こうした機器を活用するための研修を定期的に実施し、技術に対する不安を解消していくことも必要です。そして、地域医療機関や介護事業者が情報を共有できるようなデジタルプラットフォームを整備し、地域包括ケアのICT化を進めて頂きたいと思います。
未来を見据えると、台東区のように高齢者が多い地域では、ICTの活用がますます重要になります。介護する人もされる人も安心して暮らせる環境をつくるため、行政が率先して取り組むべきです。
これからも、住民一人ひとりが安心して暮らせる街を実現するために、(仮称)特別養護老人ホーム竜泉の整備を皮切りに、まずは、区内の介護老人福祉施設にICT活用を推進するべきと考えますが区長の所見をお伺いいたします。